2007年05月06日 天使と野次馬の根比べ
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今年のゴールデンウィークはまとまった時間が取れていたのにパスポートが期限切れになったために海外へは行けず、国内の小旅行をしてきたtibです。...どこへ行ってきたのかは右の写真がヒントなんですが、どこだか解りますか? 一応「光に向かって」というタイトルが付いたオブジェなんですが、現地の人達は「マカロニ星人」と呼んでいたり、存在そのものを知らなかったり...です。個人的にはマカロニ星人というよりは「ペンネ星人」ではないかと思うのですが。
さて、昨日の夜に旅行から帰ってきて、今日はウィーン少年合唱団のコンサートに行ってきました。確かに私はどんなジャンルの音楽も聴くんですが、さすがにコンサートに行くとなると、いわゆる「ノリ」とか「グルーブ感」とかからは対極に位置するような種類の音楽なので、今までずっと敬遠していました。初めて日本人がメンバーに入っての日本ツアーだというニュースを聞いて、実家の母が行きたいと急に言い出したので、母に付き合う形で行ってきたというわけです。正直言って、私は「CDで聴いていれば十分、わざわざ生で聴きに行く必要はない」とあまり期待していませんでした。
偉そうな事を言える立場ではありませんが、25人の少年達の歌声は「天使の歌声」と評されるだけあって美しかったんですが、どうも先生のピアノが所々音を外しているような...? また、日本での公演を意識して日本の曲を選ぶのはある意味当然なんでしょうけど、日本語の発音とかをもう少し学んでほしいと思いました。せっかくメンバーに日本人もいるんですし。...例えば撥音(「っ」の入る音)がうまく発音できなくて、「きっと」という歌詞が「きーと」になったり「きと」になったりしてるのが聴いていて気になりました。それから、これはこのタイプの音楽のコンサートでは当然のマナーなのかもしれませんが、1曲演奏する毎に拍手・一礼...という「お行儀良さ」が堅苦しく感じるんですよねぇ。3曲くらいまとめて聴かせてくれてもいいんじゃないかなぁ...とか、照明や舞台装置に凝ってみてもいいんじゃないかなぁ...とか。
コンサート自体は50分演奏して、15分休憩して、40分位演奏して終わり。本編はこの間のキースジャレットの時のように時々ウトウトしちゃいましたが、意外におもしろかったのがアンコール。ほら、普通どんなコンサートでもアンコールってやりますよね? 別にチケット代に含まれているわけでもないのに、演奏する方も聴く方もアンコールはするのがマナー、みたいな感じで。演奏する気満々なのに一旦舞台袖に下がって観客を待たせたりして、でも観客をじらしすぎて本当に終わりなんだと思われて帰られちゃうと哀しいので、どのタイミングで出て行けばいいのかというのがちょっとした駆け引きみたいになってたりして。...しかも、だいたい2回くらいやりますよね? アンコールが1回だとちょっと物足りないと感じたり、3回あるとなんだかお得な気分になってしまうとか。なぁんか、そういう「様式美」みたいなのがアンコールにはあると思うんですよ。
今回、一旦下がってからまた出てくるまでの時間が、今まで見たどのコンサートよりも早かったです。「え? 下がる必要あったの? すぐ出てこないと帰られちゃうと思うくらい自信のない演奏だったの?」って思うくらいに。下がって、出てきて、一礼して、また下がって、また出てきて、1曲演奏して...が繰り返されます。3回目くらいが終わったあたりで私の隣に座っている母が「もう終わりでしょ?」と立とうとするのを止めて言いました。「まだ立っちゃダメ!! ほら、ピアノの上に楽譜が置いたままになってるでしょ? あれはきっと『まだ演奏するぞ』っていう意思表示なんだから。拍手を続けていれば必ず出てくるから。」...なんだか染之助・染太郎のネタのようになってきました。こうなったらもう根比べです。こっちの聴く気が尽きるのが先か、向こうのレパートリーが尽きるのが先か。本編ではそんなに拍手していなかったくせに力一杯、立ってまで拍手したりしている私に母も付き合って拍手しています。ふと、周りを見回すと、私が母にしていた解説を聞いていて、本当にその通りになってる〜!! また出てきた〜!! と大はしゃぎするおば様達、お子さんの気持ちはもうこの後に控えているお食事に移ってるのに何度もアンコールに応えてくれちゃうから会場を出るに出られず困ってるお母さん、100%「俗」な私達とは一線を画して優雅に演奏に聴き入っている老夫婦...。あまり期待していなかったはずのコンサートで、全く予想していなかった人間模様を垣間見てしまいました。
アンコールも6曲目。ついに「美しく青きドナウ」をもってきました。定番の曲だけにピアノのイントロだけで会場は大拍手です。コーラスもさすがに他の曲とは違う勢いを感じる見事な演奏でした。何人もスタンディング・オベーションしていて、それまでよりも長目にお辞儀して、袖に下がるときに、ピアノに一番近い位置にいた子がピアノの上の楽譜を持って行きました。「あ〜、これで終わりなんだ」と帰り支度をする人が半分くらい。もう半分の人達はまだ拍手を続けています。私は当然後者です。でも、多分拍手をしている人達は素晴らしい演奏に感動しての拍手だったと思いますが、私の場合は「まだ1回出てくるかな?」という興味本位の拍手です。純粋に音楽を愛する人と言うよりはタダの野次馬と言った方が合ってる気がします。...出てきました。7回目のアンコールです。曲は「涙そうそう」。...多分これは本当に予定外のアンコールだったのでしょう。さっきの「美しく青きドナウ」と比べると明らかに出来が悪いです。その落差を他の観客も感じたのか、席を立つ人が増えました。それを受けて観客席も明るくなりました。これで本当にコンサートはおわりました。7回のアンコールなんて初めて見ました。さすがの私も「どんだけやるの? もういいでしょう」という気になりかけていました。でもね、「涙そうそう」を終えて下がっていったその時、ピアノの上には楽譜が残されていたんですよ。きっとまだ演奏するつもりでいたんだと思うんです。これは一体どういうことでしょう? 観客が根負けしたということでしょうか。明らかに完成度の低い演奏を聴かされた観客が厳しい評価を突きつけたということでしょうか。私は「ほら、もう帰ろう」とせがむ母に引っ張られながら、いつまでもステージの真ん中でポツンと取り残された楽譜を見つめていました。
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これまでに寄せられたコメント
「ウィーン少年合唱団」に日本人がいるのは
始めてだったんですね。。。
昔から普通にいるものだと思ってました。
次のアンコール、なにを演奏するつもりだったんでしょうか…???
☆画像のオブジェがどこにあるのか検索してみましたが
「光にむかって」だとぜんぜんヒットしないで
「マカロニ星人」でたくさんのヒットがあったのが
面白かったです(^○^)
By きむ*にょんにょん : 2007年05月07日 08:56
はなまるで、「ウィーン少年合唱団」の声を生で、いやテレビ通してですが聴きました。
すがすがしい気持ちになると言う表現が一番あってるような気がします。
はなまるでは岡江さん感極まって涙流してましたが、あの気持ちわかります。
By エメロン : 2007年05月07日 10:13
きむ*にょんにょんさん:
> 「ウィーン少年合唱団」に日本人がいるのは
> 始めてだったんですね。。。
そのようですね。でも今回のメンバーには含まれていませんでしたがもう1人、日本人が在籍しているそうですよ。
> 「マカロニ星人」でたくさんのヒットが
そうなんですよねぇ、ちなみに「ペンネ星人」ではほんの数件しかヒットしませんでした。んー、私にはどうしてもマカロニには見えないんですけどねぇ。
エメロンさん:
> はなまるで、「ウィーン少年合唱団」の声を生で、いやテレビ通してですが聴きました。
> すがすがしい気持ちになると言う表現が一番あってるような気がします。
はなまるでは「ふるさと」を歌ったんですよね? 昨日もアンコールでふるさとを演奏しましたが、「涙そうそう」の数段上の出来でした。私もうっかり一緒に口ずさんでしまいそうになるくらい。
By tib : 2007年05月07日 15:46
日本はショートパスタといえば、「マカロニ」なんでしょう。(笑)
少年合唱団というのは、声変わりをしたら、退団になるのでしょうか?って、自分で調べれよと思うでしょうが。
で、カイ・シマダくんは漢字の公表はしないと親が決めたようですが、「シマダ」って、普通の漢字じゃないってことなんでしょうか?
それにしても、アンコール、出たり引っ込んだりと大変なんですね。
By かに座のルビー : 2007年05月07日 17:17
>海外へは行けず、国内の小旅行をしてきたtibです。...どこへ行ってきたのかは右の写真がヒントなんですが、どこだか解りますか?
海外に行きたい思いが強くて、一応海を越えて行く地方を選んだんでしょうか(笑)? 私は「マカロニ星人」よりタイルで地面に描かれたひまわりの方が興味あるなぁ・・・
>あまり期待していなかったはずのコンサートで、全く予想していなかった人間模様を垣間見てしまいました。
その状況を作った張本人なのに・・・(~_~;) 合唱団の関係者の間でもきっと話題になったでしょうね。 7回のアンコールが「これまでの最高記録だ、盛り上がったなぁ」なのか「勘弁してよ、もういいかげんにしてほしい。」なのか出演者側の感想も聞いてみたいものです。
By おぱーる : 2007年05月07日 17:59
かに座のルビーさん:
> 少年合唱団というのは、声変わりをしたら、退団になるのでしょうか?
その通り、強制退団です。
> アンコール、出たり引っ込んだりと大変なんですね。
これぞ「様式美」というやつです。別に客席に愛想を振りまくでもなく、実に淡々と出たり引っ込んだり。もう少し人間味を出してくれてもいいのに、と思います。
おぱーるさん:
> 海外に行きたい思いが強くて、一応海を越えて行く地方を選んだんでしょうか(笑)?
ナイス着眼点!! ホントに...、10年も掛けたってのにパスポートをスタンプで埋められなかったのが心残りで。まさか3ページも余らせるなんて...。ブツブツ。
> その状況を作った張本人なのに・・・(~_~;)
私の周りの席に座っていらした方、もしこれを読んで「あぁ、あの時の!!」とピンと来たらご一報下さい。お待ちしています。
> 出演者側の感想も聞いてみたいものです。
私がもしあの時の出演者だったら絶対に「あーやっぱり6曲でやめときゃよかった〜〜!!」ですね。「最近のウィーン少年合唱団は商業主義に走りすぎて質を落としている」という厳しい批評も一部にはあるようですが、私でさえ「あれじゃそう言われても仕方ない」と思える位、落差を感じました。
By tib : 2007年05月09日 03:42