2004年12月17日 恐竜家族
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風邪で寝込んでいたり、用事があって朝早くから出かけていたり、単純に朝寝坊したり...、といろんな理由でことごとく不燃ゴミの日を逃し続けていたのがやっと昨日出せてホッとしているtibです。あ〜貯め込んでいたのが生ゴミでなくてよかった。
皆さん、「恐竜家族(Dinosaur)」って番組知っていますか? 7〜8年前にNHKで放送されていたものなんですが、セサミストリートのマペットなどを手がけたJim Henson companyが制作した人形劇...というか、かなり人間くさいドラマでした。人形・着ぐるみとはとても信じられないくらい表情豊かなキャラクター達が織りなすドラマは現代の人間社会を鋭く風刺していて、時に食物連鎖や麻薬問題などの重すぎるテーマにも正面から取り組み、それでいて嫌みなくスンナリと見せてくれる、とても子供向けと分類するには惜しい秀逸なドラマでした。
中でも特筆すべきは最終回でした。大まかなストーリーはこんなのでした。
- 年に1回、カブトムシの大群が渡り鳥のようにやってくる特別な日。その姿の美しさを見る事が恐竜たちの間で年に一度の自然が織りなすエンターテインメントになっていた。
- 渡ってきたカブトムシ達は繁殖のため沼地に集まるはずだったのに、その沼地は埋め立てられて工場と化していた。しかも工場に集まってきたカブトムシ達を工場側の恐竜達が駆除してしまった。
- カブトムシがいなくなったため、カブトムシ達の食料となるはずだった草が異常繁殖する。その多さに恐竜たちの文明生活が混乱する。
- いくら刈り取っても次から次に生えてくる草をどうすればいいか、利益第一主義の企業が最も手っ取り早い方法をと考えた結果、恐竜たちは街中に枯れ葉剤を撒いた。草はなくなったが、植物という植物が枯れてしまった。
- 植物を取り戻すためにはどうすればいいか、またもや利益第一主義の企業が最も手っ取り早い方法をと考えた結果、雨を大量に降らせればいいという結論に達し、雨雲を大量発生させるために火山という火山に爆弾を投げ込んだ。
- 火山は噴火し、雨が降ってきた。しかし、空を覆った煤は数万年にも渡って地表から日光を遮るほどの量だった。
- 降ってきた雨は雪に変わっていった。どんどん気温は下がっていく。しかし利益第一主義の企業は暖房器具を売る事ばかりに熱心で事の重大さに目を向けない。
- 自然を破壊した愚かさにやっと気づいたときにはもう何もかもが取り返しのつかない事になっていた。最後にテレビからキャスターが天気予報を告げる。「長期予報です。ずっとずっと雪が降り続きます。暗く寒い日が続きます。それではみなさん、おやすみなさい。さようなら。」
もう少し詳しいストーリーを知りたい方はこちらをどうぞ。
今年、「隕石衝突の時の衝撃で地球全体が200度以上になり、恐竜を始め地表にいた動植物は2時間以内に絶滅したはずだ」という新たな学説が発表されましたが、それまでの定説にリンクさせた、衝撃的なほどによくできたストーリーでした。「恐竜家族」が今でもレンタルビデオ屋に置いてあるかどうか解りませんが、もしあったら絶対にお勧めです。破滅への道を進んでいるというシグナルがあったのに目先の利益しか見ようとせず、時間のかかる地道な方法よりも手っ取り早く効果を出せるだろうとの推測だけで自然を力でねじ伏せようとして更に破滅への道を進んでしまう...という展開は、「生活レベルは落とせない」という理由で環境問題をつい後回しにしてしまう現代社会を強烈に風刺...いやもう、警告と言っていいのかも知れません。
アルゼンチンで行われている温暖化会議(COP10)で改めて「京都議定書を批准しない」と述べたアメリカの姿に、ふと昔見たテレビ番組を思い出してしまいました。