2003年12月18日 著作権のお勉強 part2
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昨日のつぶやきは内容的に戸惑われた方が多かったようですが、著作権という物についてちょっと考え直してみるきっかけになれば幸いです。
さて、私自身も昨日のつぶやきを読み返してみると説明が不十分だったようなので、補足させてください。特にグレーゾーンの判断の仕方について具体例を挙げて、一般論へ持っていきます。
いきなり話は横道に逸れますが、このサイトは皆さんご存じのようにテレビ番組のファンサイトであるため、著作権侵害にはいろんな所で注意して運営してきたつもりです。グレーゾーンと判断されるような事はなるべく黒と判断して著作権者側の立場を尊重する事を常としてきました。その姿勢は昨日のつぶやきにおいても変わっていませんでした。それゆえ、みなさんに著しく窮屈な思いをさせてしまったようです。昨日「かなり黒に近いグレー」と書いたものは実際には白と判断される場合も多いと思います。
それでは、昨日に引き続いて例文を見ていきましょう。
「私のオリジナルレシピ・コンキリエのカルボナーラ(味噌味)です。(以下レシピ内容)」
確かにこのレシピは私が何度も試して辿り着いたものです。ただ、私は「カルボナーラ」という既存の料理に自分なりのアレンジを加えたに過ぎません。それではオリジナルのカルボナーラを作った人の著作権を侵害した事になるでしょうか。答は「ならない」です。料理のレシピという物は、まったくの無の状態から作り上げていくケースはほとんどなく、既存の料理に少しずつ手を加えて、多くの人の英知と年月を掛けて磨き上げられていく物だからです。誰が著作権者か、というのは多くの場合特定できないからです。
ここまでを読んで、「じゃぁレシピの紹介は合法なんじゃないか」と思われた方もいらっしゃるかと思います。ですが、そうではありません。著作権法の保護対象になるレシピは確かに存在します。
- 料理本で紹介されたレシピ。
「本来その本を買って初めて内容を知る事ができるもの」は保護対象になります。つまり、「俺の書いた本の内容をあんたが掲示板にまる写ししたせいで俺の本が売れなくなった。損害賠償を請求する。」という主張は認められるのです。
→ようするに、本のまる写しは著作権侵害になり、何らかのアレンジが加わっていればOKです。ただし、4人分のレシピを2人分にしただけとか、「強火で5 分...」と「強火で4分59秒...」のように実質的に大差ない変更ではアレンジを加えたとは認めてもらえないでしょう。 - テレビで紹介されたレシピ
例えば、はなまるマーケットで料理研究家の先生方が紹介するレシピは、番組の企画意図に併せて材料や作り方に工夫が凝らされた、「はなまるマーケットのために作ったレシピ」です。紹介した先生もしくはTBSに著作権があると考える事が出来、これをまる写しして載せると著作権侵害になります。つまり、「番組で紹介したレシピをあんたが掲示板にまる写ししたせいで番組で出版する料理本が売れなくなった。損害賠償を請求する。」という主張は認められるのです。
→ようするに、番組で紹介したレシピもまる写しはダメです。
繰り返しになりますが、このサイトはテレビ番組のファンサイトであるため、著作権侵害については厳しめの判断を心がけてきました。レシピの紹介も番組で取り上げられたものが念頭にあったために厳しめの判断をしていた事、今後もしていくであろう事はご了承ください。ただ、「グレーは何でも黒とみなす」ではあまりに息苦しくなってしまいます。自分で新しいレシピを思いついても誰かが既にどこかで発表していないか調べてからでないと書き込めないのでは、何も書き込めないのと一緒です(どこまで調べれば誰も発表していないという証明になるか、なんて誰にも解りませんからね)。
他にも「特許法で保護されているレシピ」というのもありますが、これは企業秘密の場合が多く、掲示板で暴露できるような人はまずいないと思うので割愛します。
この件について参考になりそうなサイトをいくつか紹介します。興味のある方はご覧になってみてください。